上原美智子のあけずば織り。−沖縄から
2012年7月7日(土)〜16日(月)
上原美智子のあけずば織り。−沖縄から
3.11の後、なかなか実現できずにいた企画が、改めて思いおこされて、ひとつひとつ決まっていったのでした。何百年か前、中国に朝貢していた時代のものが、沖縄にもどされた。その展示品の中に、かつての沖縄人がどれだけの思いをこめて、いまよりもずーっと上質の手仕事をしていたか、思い知らされましたという上原さん。そして、いま自分がしている、あけずば織りに近いものがあって、ハッとしたという。そういうものが彼女をかりたてていたんだなあと感じいった次第です。もう8年も前ですね。沖縄・石垣のヨーガンレールさんの家に泊めてもらった帰り、赤木明登さんと南風原(はえばる)町の染織家、上原美智子さんを訪ねた。そこで見たのは、この世のものとは思えない、ふあんとした白く輝く天女の羽衣。みつめていると風がおこり音が奏でられ、流れる雲にのってどこぞにきえてしまいそうな、はかない布。ひとつのまゆから、はきだされる呼吸そのままのウェーブとなって織られている様。60センチの幅、長さ5メートルあるにもかかわらず5グラムの重さ。娘さんの結婚式に纏わせたくてという母、上原美智子さんの言葉が、ずーっとのこっていて、いつか私も娘にと思ったもの。人は本来、そのようにして母から娘に、娘から子へと心とともに受け継いできたのでしょう。美しいこと。
2012 年 6 月 菜の花店主 たかはしたいいち
開館時間 11:00〜17:30
休館日 水曜日
入場料 500円(コーヒーor抹茶+お菓子付)
Daniel PONTOREAU
2012年6月15日(金)〜30日(土)
Daniel PONTOREAU
一昨年の初夏、ギャルリももぐさから届いた案内状で、初めてポントローさんの作品を見て、どうしても会いたくなって多治見へ向かった。新しい美術館を作ろうとしていた私は、ポントローさんを小田原へお呼びした。その時通訳をしてくれたのは、彼の古い友人である陶芸家の小川待子さんだった。二人を案内して、箱根にある改装前の建物に行くと、まだ内装に手をつけていないその場所を、彼はとても気に入ってくれた。
その場で、この小さな美術館での展示を約束してから二年が経った。
今回のダニエル・ポントロー展を前に、小川待子さんを訪ねた。
二人の出会いは、40 年近く前。フランスで学んでいた小川さんと親交のあった陶芸家ベルナール・ドゥジョングさんのアトリエで、同じ薪窯に作品を入れた時。磁器で作った球体の、彼の作品のことは今でも覚えているそうだ。
その後しばらく交流は途切れたが、彼が来日した時に再会し、再び交流が始まった。
ブランクはあれど、若い時―これから作品を作っていこうという時期に知り合った仲間であり、すぐに出会った頃へと戻れたのだという。
現代美術作家であるポントローさんと、工芸の世界にいる小川さんとは、同じ土を使っているとはいえ、世界が違い、距離がある。
けれども感覚的に共感するところがあるのだと、小川さんは手元にある作品を見せてくれた。
それは、石のように作られたものであり、刻まれた言葉と、時間、置かれた空間から生まれてくる世界がある。
ポントローさんの作る、一つ一つはパーツであり、それは同じものを再び作れるものもある。そしてそのパーツは、空間との関係性の中で息づいてくる。その時それらは、パーツではなくなり、全体として息を吹き返すのである。
過去に作ったものであっても、空間を変えることで新しい作品になるのだ。
今、箱根の菜の花展示室では、彼の作品が、静かに主の到着を待っている。フランスから、新しい作品を携えてやってくるポントローさんの手によって、展示室の空間の中に、新たな世界が生まれてくることを、私も楽しみに待ちたいと思う。
2012 年 6 月 菜の花店主 たかはしたいいち
開館時間 11:00〜17:00
休館日 水曜日
入場料 500円(コーヒーor抹茶+お菓子付)
Hello world
Hello world
井上有一と内田鋼一展
2011年6月17日(金)〜7月3日(日)
井上有一と内田鋼一展
私は書漢井上有一が大好きである。
私は陶の人内田鋼一が大好きである。
そんなことで2世代も離れた男の対決でもあり、
コラボレーションでもあります。
今のこの日本に東日本大震災、
原発災害が重くのしかかっています。
こうした時こそ、挑戦的なものづくりの仕事、
精神を感じさせるアートが大切であります。
本質とは何か。自分とは何か。それらを探らずして
どこに行こうというのですか・・・。
しばし時を忘れ、内的な時間を持つことが必要です。
ですから許すかぎり、井上有一の「愛」や「貧」に見入ってもらいたい。
内田鋼一が、それに対してこの時代の中、どうぶつかっていくか。
時代をものともせう、独自の世界を構築してくれるのか、
何がとびだすことやら楽しみ。
深呼吸をしてまちのぞみたい。
2011年6月吉日 菜の花 たかはしたいいち
開館時間 11:00〜17:00
休館日 水曜日
入場料 500円(コーヒーor抹茶+お菓子付)