津田千枝子 型染と帯
2020 年 1 0 月 1 0 日 . 土 ― 1 0 月 1 8 日 . 日
O p e n 11:00 ― 17:00 / C l o s e . 1 4日( 水 )
作家在廊日 10日(土) .11日(日) .16日(金) .17日(土) .18日(日)
10日15時より、津田さんと店主髙橋のお話をインスタライブにて配信 します。utsuwananohanaのinstagramをご覧ください。当日、会場にいらっしゃるお客さまにもご参加頂き、素材の布の話など、お聞きし たいと思います。
型染めは、素材の布によってその表情が大きく変わります。 今回の展示では、榀布 ( しなふ )、大麻布 ( たいまふ )、蓮布 ( はすぬの )、葛布 ( くずふ )、 強撚木綿布 ( きょうねんもめんふ )、パイナップル布、野蚕布 ( やさんふ ) などを使っ ています。 植物や蚕を育てるところから、糸を作り布に織るという果てしない手の仕事によ り生まれた正直な布達です。榀布、大麻布は 100 年以上も前に作られたものもあり、 時を超える力強さを持つ布ばかりです。 私は型染めの制作に、どうも納得がいかない時期が長かったのですが、ようやく 行きついたのがそのような素材の布でした。普通、型染めでは敬遠されるらしい 凸凹や糸の不揃いが、どうしても硬くなりがちな染めにむしろかすれや滲みの表 情を与えてくれました。 榀布の存在感、葛布の輝き、蓮布の古びを感じるやわらかさ、布を広げると、 古い時代の布作りの様子や、ミャンマー、インド、ラオス、中国などの作り手の 笑顔が浮かびます。 はるばるインレー湖の奥まで蓮布を受け取りに行ったり、ラオスで織ってもらっ た布をインドで染めたり、自宅作業場であれこれ模様や色を決めるのも、布に促 されてのようです。手強い素材ばかりですが、私の染めで布の持つ個性をそこな うことのないよう、その力を味方にして制作しています。 東洋の鄙びた古陶磁や、ヨーロッパのフレスコ画など、私の眼を養ったものと、 同じ水平線で眺めるように染め布が作れたらいいなと、願望を持っています。
津田千枝子
僕も一度ミャンマーのインレー湖の奥まで同行させてもらったことがある。最 後の最後にできた良いものを舟で届けてくれたおばあちゃんから蓮布をもらい受 けた。その布はできたてでも、何百年も経たような好みの布だった。今回の、榀布、 大麻布は百年も経っているという。まず津田さんは素材の選び方すごく良い。 また津田さんは型染について控え目で、布のつくり手に敬意をもって接していた。 簡素な板を削って、インドへ持って行き、その地で染めるという。その仕事は大胆であり、自然である。
髙橋台一