森善之写真展 水を撮る
森善之 写真展
sacred water
2021.7.3〜7.11
作家在廊日 3日4日10日11日
7日(水)定休日
11:00〜17:00
入館料500円
古い25年も使われていないビルがあった。
2011年に3.11が起こり、このままでは日本はダメになると思い、自分がやれることを今やろうと一大決心した。それはそのビルを井上有一の展示ができる場にすることだった。
そして、その三ヵ月後には有一の命日に合わせて「井上有一と内田鋼一展」のオープニングにこぎつけた。そのポスターの撮影に内田さんが呼んでくれたカメラマンが森善之さんだった。まだ改装していない、壁や梁を取り壊したままの状態の一角で、有一の書と内田鋼一の陶壺を置いて撮ってもらった。
今回、改めてその写真を見たら、実に良い。「愛」の書が、静かに周りを蘇らせる「愛」だと感じた。
「おれの有一」という、今度出版する本にも、その写真を載せたいと思っている。
ところで森さんの展覧会のテーマは「Sacred聖なる Water水」。
森さんは以前から、渓流が好きで釣りに行っていたそうだ。竿の代わりに川にカメラを持ち込んだのだと言われる。そして日本三大渓谷の一つ大台ヶ原にある大峰山の山岳信仰に魅せられて、源流の一つ、前鬼川に10年も通ったという。
最初は川の水の透明感や何色もの色などを撮っていたが、だんだんと光を通しての水ではなく、水そのものをフィルムで掬い取れないか?と思うようになり、真夜中の星の光しかない川に出かけるようになった。1メートル先も見えない状況で恐怖感もあった。が、一時間いると石の白い処だけが見えてくる。
昼と同じ世界が異質で神聖な処になる。原始的な時間。空間。闇の安らぎ。
水の美しさは精神形成に影響し、水を汚すのは生命体を汚すことと同じ感覚がする。
水は地上と空中を循環しているだけでなく、生命そのものだと感じ始めた。そもそも昔の日本の歌には、川で遊ぶことや川のせせらぎなどが歌われていたが、今では誰も歌わなくなった。
森さんの話を聞いて僕も同感した。以前は水にこだわって菓子作りをしてきたし、今は本当に暮らしの中で水を感じることがないなあと思う。誰もそんなことをいう人がいなくなった。
始めに触れた3.11もそうだし、人間がこの地球に生かされていることを、思い出さなければと思います。
ぜひ森さんの写真を見に来て下さい。
うつわ菜の花 髙橋台一
津田さんの個展は終了しました
津田千枝子の型染と帯
会期は終了致しました
自然布の個性を生かした
津田さんの染めの色が
織りを際立たせ深みを増し
美しく作られた帯地22本を
じっくりとご覧頂けました
榀布
榀布
大麻布
津田千枝子さんの型染と帯
箱根菜の花展示室での展示は3回目となる津田さん
今回は、個性的な布の表情と、津田さんの型染の美しいハーモニーをじっくりご覧いただける展示になっています
蓮布や榀布、大麻布、葛布など、
一本一本の糸が、津田さんの染めの色を纏うことで、深い奥行きを見せてくれます
先日のトークライブで、
「布の上に表現をするというよりも、布を作る、という感じ」とおっしゃっていた津田さん
それぞれの布にぴったりの、津田さんらしい型染が、その魅力を最大限に引き出しています
写真では伝わらない、深い美しさを、是非ご覧いただきたいと思います
津田千枝子の型染と帯
2020.10.10〜10.18
11:00〜17:00 14日(水)休館
16日17日18日には津田さんが在廊されます
津田千枝子 型染と帯
2020 年 1 0 月 1 0 日 . 土 ― 1 0 月 1 8 日 . 日
O p e n 11:00 ― 17:00 / C l o s e . 1 4日( 水 )
作家在廊日 10日(土) .11日(日) .16日(金) .17日(土) .18日(日)
10日15時より、津田さんと店主髙橋のお話をインスタライブにて配信 します。utsuwananohanaのinstagramをご覧ください。当日、会場にいらっしゃるお客さまにもご参加頂き、素材の布の話など、お聞きし たいと思います。
型染めは、素材の布によってその表情が大きく変わります。 今回の展示では、榀布 ( しなふ )、大麻布 ( たいまふ )、蓮布 ( はすぬの )、葛布 ( くずふ )、 強撚木綿布 ( きょうねんもめんふ )、パイナップル布、野蚕布 ( やさんふ ) などを使っ ています。 植物や蚕を育てるところから、糸を作り布に織るという果てしない手の仕事によ り生まれた正直な布達です。榀布、大麻布は 100 年以上も前に作られたものもあり、 時を超える力強さを持つ布ばかりです。 私は型染めの制作に、どうも納得がいかない時期が長かったのですが、ようやく 行きついたのがそのような素材の布でした。普通、型染めでは敬遠されるらしい 凸凹や糸の不揃いが、どうしても硬くなりがちな染めにむしろかすれや滲みの表 情を与えてくれました。 榀布の存在感、葛布の輝き、蓮布の古びを感じるやわらかさ、布を広げると、 古い時代の布作りの様子や、ミャンマー、インド、ラオス、中国などの作り手の 笑顔が浮かびます。 はるばるインレー湖の奥まで蓮布を受け取りに行ったり、ラオスで織ってもらっ た布をインドで染めたり、自宅作業場であれこれ模様や色を決めるのも、布に促 されてのようです。手強い素材ばかりですが、私の染めで布の持つ個性をそこな うことのないよう、その力を味方にして制作しています。 東洋の鄙びた古陶磁や、ヨーロッパのフレスコ画など、私の眼を養ったものと、 同じ水平線で眺めるように染め布が作れたらいいなと、願望を持っています。
津田千枝子
僕も一度ミャンマーのインレー湖の奥まで同行させてもらったことがある。最 後の最後にできた良いものを舟で届けてくれたおばあちゃんから蓮布をもらい受 けた。その布はできたてでも、何百年も経たような好みの布だった。今回の、榀布、 大麻布は百年も経っているという。まず津田さんは素材の選び方すごく良い。 また津田さんは型染について控え目で、布のつくり手に敬意をもって接していた。 簡素な板を削って、インドへ持って行き、その地で染めるという。その仕事は大胆であり、自然である。
髙橋台一